ハードウェアのコンセプトについて

私の個人的な話になるのだが、今から20年以上前、Panasonic Let’s note AL-N2 というノートパソコンを愛用していた。
このパソコンは、キーボードの手前に光学式トラックボールを搭載していて、キーボードからあまり手を離すことなく、トラックボールの操作をすることができた。また、ボールの球径こそ、19mmと小さいものの、当時としては珍しい、ボールにドットパターンが見えない光学式トラックボールで、かつ、当時の他のPCのトラックパッドとは比較にならないほどの、リニアでスムーズなマウスカーソル操作が可能であった。
個人的にこの、キーボード手前のトラックボールというのが、とても気に入っていたので、いつか自分でもそんな入力デバイスが欲しいと思っていた。これが、目的の一つ。
 
もう一つ、過去に気に入っていたものがある。Microsoft Trackball Optical という、やはり20年ほど前のトラックボールである。
このトラックボール、親指操作型トラックボールとしては、ボール径や筐体がやや大きく、筐体にやや右下がりでゆったり右手を置くと、手指の負担が少なくトラックボール操作ができた。
 
この両者の特徴を、何とか一つのデバイスとしてまとめることはできないか?というのが、今回の入力デバイスの初期コンセプトだった。
 
 そしてその後、いろいろ試行錯誤を繰り返してできたのが現在の形ということになる。
キーボードの左右に傾斜をつけ、高くなった中央にトラックボールを設け、トラックボールのボタンはキーボードと兼用する。手首の負担を考えて、あえて、ホームポジションから指をずらして、パームレストに手を置いてトラックボールを操作する。トラックボールモードとキーボードモードを意識せずに切り替えるためにパームレスト部にタッチセンサを設ける。これらは、試作や思考実験を繰り返しながら詰めていった仕様だ。

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ボロボロで汚れたLet's note AL-N2。今も捨てられずにいる。