ALT Modのソースを公開します

ALT Modのソースコードを公開します。

先日紹介しました、ALT Modのソースコードを公開します。

ALT Modとは?

改めて、ALT Modを紹介しますと、既存のキーボードのキーに、アルミテープを貼ってタッチセンサにすることで、本体は無改造で実質的にキーの数を増やすことができる手法です。ALuminum Tape Modification略してALT Modです。 ハードはスイッチサイエンスのPicossciに簡易タッチセンサを付加し、ソフトはせきごんさんのKeyboard Quantizer Miniのコードに簡易タッチセンサのコードを組み込み、Keyboard Quantizer Miniの機能に加え、タッチセンサによりレイヤの変更を行うようにしてあります。 これにより、例えば、スペースキーの押す場所を変えることで、4つの異なるキーコードを打ち分けることができます。

ハードウェアについて

具体的には、PicossciのGP8-GP9, GP10-GP11, GP12-GP13, GP14-GP15間にそれぞれ、1M Ohmの抵抗を接続し、GP9, GP11, GP13, GP15にそれぞれタッチセンサ(アルミテープ、銅テープ、導電性ゴム等)を接続します。USBホスト端子には、USBキーボードを接続し、USB-C端子はパソコンに接続します。 タッチセンサとPicossciの接続がちょっと難しいですが、私は、銅線はアキバのオヤイデ電気で多分これ、アルミの導電性テープはアマゾンマケプレで購入し、使用しました。配線は、あえて隠してないので、写真でもちょっと見えていますが、適宜、両面テープやアルミテープでキーボードに固定しました。工作の得意な方は上手く隠せると思いますが、私は不器用なので、配線に負担がかからず、簡単に作業できるようにこうしました。

ソフトウェアについて

(以下、既にqmk firmwareの開発環境があることを前提にしています。私はGit/GitHubについて良く分かってないので、間違いがありましたらご指摘下さい。) ソースはこちらにあります。(せきごんさんのvial-qmkをforkしたものです。)Gitでクローン、又は、ファイルをダウンロードして適当なディレクトリに展開してください。

その後、vial-qmkをインストールしたディレクトリに移動して、

qmk setup

して、開発環境をセットアップします。

 make edoball/keyboard_quantizer/mini:vial:uf2

コンパイルできます。 (vial-qmkをインストールしたディレクトリ)/.build にedoball_keyboard_quantizer_mini_vial.uf2とのファームフェアできていれば成功です。PicossciをBOOTSELスイッチを押しながら電源投入し、フォルダが認識されたら、edoball_keyboard_quantizer_mini_vial.uf2を転送してください。(Windowsならドラッグ&ドロップでできます。)

Keyboard Quantizer Mini から修正した点

私が修正した点は、 vial-qmk/keyboards/edoball/keyboard_quantizer/mini 以下にあります。基本的に修正点はコメントで示してあります。

設定

Remapに対応しています。

GP9, GP11, GP13, G15に接続されたセンサがタッチされた時、それぞれレイヤ4,5,6,7がアクティブになります。例えば、GP9センサをスペースバーに貼って、GP9センサを押しながら、スペースバーを押した時にEnterを入力したい場合、レイヤー4のスペースバーEnterを設定します。

私の場合、スペースバーの真ん中のタッチセンサをレイヤ4にし、スペースをEnterに、右側のタッチセンサをレイヤ5でBSに、左側のタッチセンサをレイヤ6で*Ctrl-Space(かな漢字のトグル)に割り当てています。(レイヤ7は使用していません。)スペースバーのタッチセンサ以外の部分は当然ながら通常のスペースです。

また、Ctrlの右側のセンサもレイヤ4に割り当てて、Emacs風のカーソル移動キーバインドを実現しています。通常のCtrlを入力したいときは、Ctrlキーの左側を打鍵すればよいので、個人的には、わりとすぐ慣れて、使い分けができるようになりました。Emacs風のキーバインドに慣れた私には、これはとても重要で、WordやExcelを使う時のストレスが、これでかなり減りました。(このテキストもあえてWordで書いています。)

最後に

とりあえず、このような方法で、本体無改造で実質的にキーの数を増やすことができました。タッチキーを用いた手法は、既存のキーの改造だけでなく、自作キーボードにおいて、いろいろ広がりがある手法ではないかと思っています。できるだけ多くの方にこの手法を試して頂ければなぁ、と思っています。現状ではちょっとハードルが高いですが、自作キーボードを設計するよりはかなり簡単なので、キーボードを自作されている方には試して頂き、いろいろ改良していただければ、大変ありがたいです。皆さん、ぜひ試してください!

また、改めて、Keyboard Quantizer Miniを開発、ソースコードを公開されている、せきごんさんに感謝の意を表します。ありがとうございました。(私自身、Keyboard Quantizerシリーズの幾つかの製品のユーザです。)そして、P Picossci でKeyboard Quantizer Miniのファームを動かすにあたり、cheer4uさんのこの記事も大変参考になりました。ありがとうございます。